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労務・労使紛争2

労務・労使紛争2

従業員トラブル

昨今では、裁判所も積極的な労働者保護の判断を下していることに加え、労働者の権利意識の向上もあるため、問題のある従業員に対する指導、指示がしづらいと感じることはありませんか。
確かに、労働者は一般的に弱い立場にありますから、保護されるべき存在ですが、何をやっても許されるわけではありません。
会社から見て、おかしいと思う行動があれば、それは実際におかしいことが大半で、それらは当然に是正されなければならないことです。
しかし、労働者保護の風潮から、対応を間違えると会社がさらにダメージを負うということになりかねません。
問題のある従業員への対応は、きちんとしたプロセスを経なければ、大きな問題に発展してしまいます。

【ケース1】
従業員Aが、職場のパソコンで私用のメールを頻繁に送受信していることが判明した。
そこで、Aの上司であるBが、Aを呼び出し、指導することとした。

【ケース2】
従業員Cは、入社からもう3年経つが、全く仕事ができるようにならない。
入社当初は、まだ新入社員だし、これから徐々に仕事を覚えていくだろうと大目に見てきたが、半年経っても1年経っても仕事を覚えることはなく、最近では、周りが誰も仕事を与えないために、むしろ入社時より仕事ができないのではないかとさえ思う。

解雇問題のありがちな対応例

【ケース1】
Bは、Aに対し「お前何をしているんだ!業務時間中は仕事に専念してもらわなければならないところを、ろくに仕事もせずに個人的なメールのやり取りばかりして。それも会社のパソコンを使っているなど、言語道断だ!」とこってり叱りました。
そうしたところ、Aは、Bが勝手にパソコンを見たことはプライバシーを侵害している、また、Bが叱ってきたことはパワハラにあたるとして、Bと会社両方にたいして損害賠償請求してきたのです。
その結果、裁判対応に余分な時間やお金をかけざるを得なくなりました。

【ケース2】
あまりに仕事が出来なさすぎて、誰も仕事を任せていないので、C自身は何をするでもなく、ただ出社すれば毎月決まった給与をもらえるこの状況をこれ幸いとばかりに楽しんでいる。解雇はなかなか認められないらしいので出来ないし、かといって、能力が不足しすぎていて、任せられる仕事すらないので、勝手に遊ばせている。

従業員トラブルに対するガーディアンの対応

従業員トラブルに対するガーディアンの対応

昨今では、裁判所も積極的な労働者保護の判断を下していることに加え、労働者の権利意識の向上もあるため、問題のある従業員に対する指導、指示がしづらいと感じることはありませんか。 確かに、労働者は一般的に弱い立場にありますから、保護されるべき存在ですが、何をやっても許されるわけではありません。会社から見て、おかしいと思う行動があれば、それは実際におかしいことが大半で、それらは当然に是正されなければならないことです。 しかし、労働者保護の風潮から、対応を間違えると会社がさらにダメージを負うということになりかねません。問題のある従業員への対応は、きちんとしたプロセスを経なければ、大きな問題に発展してしまいます。

【ケース1】まず勝手にAのパソコンを見たことがAのプライバシー権侵害にあたるか否かが問題となります。

そもそも、従業員が勤務時間中に私的なメールを作成したり送信したりする行為は、職務専念義務違反に該当しうる行為であるとともに、企業施設の私的利用として企業秩序違反に該当しうる行為です。そのため、会社としてはそういった義務違反行為がある場合には、その違反行為を指導し、違反状態を是正する必要があります。

しかし、話している内容から業務に無関係の私的な行為かどうかが容易に分かる、業務時間中の私語や私用電話と違って、私的なメールは、一見すると、業務に関係するメールなのか私用のものなのかの区別がつきにくくなります。そのため、会社として従業員が私的なメールを送受信していないかどうか把握するには、従業員のメールを監視する必要がでてくるのです。

そして、裁判所は、従業員が会社から貸与されたパソコンを使って私的なメールを送受信する場合、プライバシー保護の範囲は通常よりも相当程度低減され、社会通念上相当な範囲での監視であればプライバシー権侵害にはならない、という考え方を基本的に採用しています。監視がプライバシー権侵害になるような場合としては、たとえば、①そもそも従業員の電子メールを監視して、私的利用があるかないか確認するような立場にない者が監視した場合や、②従業員の電子メールを監視する立場にある者ではあるが、全くの個人的な好奇心から監視しており、何ら監視する合理的理由がない場合、③監視の事実を隠したままで監視した場合などを想定しているようです。

ですから、今回の事案では、まず就業規則等で、電子メールシステムの私的利用は禁止すること、私的利用が行われていないかどうか監視することを、全従業員に周知しておきましょう。そうすることで、Aが言うプライバシー権侵害だとの主張は、簡単に退けることができるでしょう。

また、就業規則上に、勤務時間中の私的なメール送受信等について、懲戒処分の対象行為として明記しておくべきです。そうすることで、Bに叱られるのは当然のことだとAに自覚させることができ、パワハラだという主張を退けることができるでしょう。

【ケース2】問題社員に対しては、放置することなく、慎重に的確な対応をしていくべきです。

従業員を雇用するとき、どの会社でも、面接や試験等で慎重に採否を判断していると思いますが、それでも、採用前の期待を大きく裏切るような能力不足の従業員を採用してしまうことはあります。
そして、解雇は文字通り労働者の生活の糧を失ってしまうものですから、そう簡単に認められるわけではありません。実際に、解雇した後に元従業員が会社を相手取って、解雇は無効だと主張し、多額の賠償金等を請求してくるケースも年々増えてきています。

だからといって、問題社員がいるのにただ手をこまねいているだけ、というのは一番避けねばならない対応といっても過言ではありません。会社にとっては、何ら生産性のない従業員の人件費を負担しなければならないということになりますし、他の従業員らにとっては、能力不足の従業員に支払う給与分も代わりに売り上げなければならず、ノルマが増えるという点で負担を強いられるほか、会社に貢献しなくても給与が保証されている従業員がいるということ自体が、「こんなに頑張っているのに、なぜあいつと同じ給料なんだ!会社は全然評価してくれていない!」などと不平・不満を募らせ、会社を辞めてしまうという優秀な人材の流出リスクが生じてしまいます。

こういった事態を避けるためにも、能力不足の従業員に対しては、きちんと指導や教育等を繰り返し、それでも全く改善されないなら、適法に解雇することを考えるべきです。
能力不足で解雇する場合、裁判所は解雇が適法かどうか厳しく判断する傾向にあります。日本ではまだまだ長期雇用が前提で、使用者側に広範な人事裁量権が認められているため、使用者としては、人事裁量権等を駆使して解雇回避措置を実施することが求められます。

ですから、能力不足による解雇をする場合、後に解雇の有効性を争われたときのために、①そもそも能力不足の程度が、当該労働者に求める職務遂行能力のレベルからみて、繰り返し指導・教育・研修会等を実施しても容易に是正し難い程度であって、職務遂行上の支障を発生させていること、②この状況を打破するために配転や降格等を用いて、当該労働者の能力を活用する余地がある以上はそういった解雇回避措置を行ったこと、③それでも解雇以外の方法がもはやない、という状況であったこと、というような事情をきちんと証明できるように証拠を保存しておきましょう。

社内に問題社員がいると分かったとき、対応の仕方を間違えるというのは、絶対にあってはならないことですが、かといって放置するのも、さらに問題が大きく根深いものになってしまいます。特に近年では、従業員と思しき人物がインターネット上に企業内部のある事ない事を書いて誹謗中傷するようなトラブルも多発していますので、対応を間違えて、インターネット上で企業の社会的信用が傷つけられるというような展開になることは避けねばなりません。

問題社員に対しては、放置することなく、慎重に的確な対応をしていくべきです。まずは、弁護士等専門家に相談し、業種や就労体系などから予測される従業員トラブルを事前に洗い出し、そういったトラブル発生に備えて就業規則等を整えておきましょう。それでも、どうしても従業員トラブルをゼロにすることは不可能でしょうから、起こってしまった従業員トラブルに対しては、後で争われることも見越して、通り一辺倒の対応で終わることなく、当該案件のポイントを見つけ、そのポイントを踏まえた対応を取っておくこと、そういった対応を取った証拠をきちんと保存しておくことが重要です。
案件ごとのポイントは様々な労使紛争の経験を持つ弁護士に相談して見極めてもらうことをお勧めします。

労働審判・訴訟対応

労働審判手続を申し立てられたら

労働審判手続を申し立てられたら

従業員から、未払い残業代請求や地位確認請求などの労働審判手続を申し立てられた場合、通常、申立てがあった日から40日以内に第1回期日が指定されることになります。 そして、労働審判手続は原則として3回以内の期日で審理を終結することになっているので、最大でも3回しかない期日の中で、会社の言い分が正しく、従業員の言い分が間違っているということを労働審判委員会に正しく伝えて、会社に有利な判断をしてもらわなければなりません。 それも、主張立証は第2回期日までとされ、実質的には第1回期日で労働審判委員会の心証の大部分が形成されてしまうので、第1回期日から、主張・立証を尽くしていく必要があるのです。 そのため、ある日突然労働審判手続を申し立てられた会社としては、そこから40日以内に第1回期日の出頭を余儀なくされるだけでなく、通常その出頭の1週間前までには、会社の言い分を記載した答弁書や主張を裏付ける証拠等を提出しなければなりません。 たとえば、未払い残業代請求についての申立てがなされたのであれば、労働者が主張している労働時間が正しいものかどうか、固定残業代を支払っていないか、管理監督者にあたらないか等の点に注意しつつ、労働者側の労働審判手続申立書に対する反論を記載した答弁書を作成していく必要があります(未払い残業代請求に関する詳細はこちら)。 また、解雇無効を理由とする地位確認請求を申し立てられた場合は、例えば解雇の理由が勤怠不良であれば、その労働者の遅刻や早退等が多いことを示すタイムカードなどの資料や、勤怠に関する会社のルールが記載された規程類、遅刻や早退等について指導や教育、処分を行ったのであればそれを示す資料などを証拠として提出していく必要があります(その他解雇に関する詳細はこちら)。 労働審判手続が申し立てられたと分かったら、準備不足にならないよう、すぐ弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。 なお、労働審判手続は、最大3回の期日内で調停を成立させるか、労働審判が出されそれに対する異議がなければそこで終了しますが、調停が成立せずに労働審判が出されたところ、当事者のいずれかから異議申し立てがなされると、訴訟手続きに移行することになります。 訴訟労働問題を裁判所の手続きを通じて解決しようというときには、まずは必ず労働審判手続によらなければならない、というわけではないので、労働者が未払い残業代請求や地位確認請求をしようとする場合には、労働審判手続を申し立てるのではなく、訴訟を提起してくるケースも当然あります。 訴訟の場では、話合いによる紛争解決を目指す労働審判手続とは異なり、双方が自分に有利な判決を求めて活動します。自分に有利な判決を得るためには、民事訴訟のルールに従って、争点をきちんと整理し、争点については的確な証拠を出し、的確なタイミングで的確な主張をしていく必要があります。 こういった的確な証拠提出や主張を、専門家を付けずにしようとしても、専門家の目から見れば争点と直接関係のないことであったり、法律論ではなかったりしてしまい、結局裁判所に認めてもらえないという事態に陥りかねません。特に、相手方に弁護士が付いている場合には、自分だけ法律の専門家をつけずに裁判官や弁護士と渡り合うことになりますが、対等な戦いは非常に困難です。 このように、訴訟にまで発展してしまった労使紛争は、ご自身や会社内の人間だけでなんとか対応できる範疇を超えていることが多いですから、早急に弁護士に相談・依頼をされることをお勧めします。

ガーディアン法律事務所なら

ガーディアン法律事務所では、労働者側での労働審判手続申立件数においてトップクラスの経験を活かして、戦略を立てていきます。
企業の相手方として労働者側で戦ってきた、労働者側の戦法を知り尽くした弁護士ですから、どこをどう切り崩せば労働審判が有利に運ぶのか、的確な戦略に基づいて戦うことができます。

就業規則

労働者と紛争が発生した場合、多くのケースでは就業規則が貴社を守ってくれます。
しかし、多くの企業ではテンプレートを使って一応の就業規則を作っただけ、創業時に作った就業規則がそのまま、といったように現在の会社の状況に合った就業規則が作られていないのが実情です。
就業規則は労使紛争が発生した際に、会社を守る重要なツールになりますので、弁護士による就業規則の添削を受けることが極めて重要です。

なぜ弁護士による就業規則の添削が必要なのか

なぜ弁護士による就業規則の添削が必要なのか

就業規則は紛争が発生した場合に解決の指針となるツールです。 そのため、紛争の現場、実態をよく把握している弁護士が見なければなりません(労使紛争の現場を知っているのは弁護士だけです)。 弁護士であれば、会社の状況から具体的に生じうる紛争を予測することができ、そこから逆算して、紛争を予防する就業規則を定めることが可能となります。 【ケース1】休職を繰り返すうつ病の社員を辞めさせたい。 【ケース2】労働条件を変更したいがどうすれば良いのか。 【ケース3】日中はダラダラと業務をして、残業代が発生する定時以降にようやく真面目に仕事を始める。 こういったトラブル・悩みを、就業規則をうまく使うことで解決できるのです!

就業規則問題に対するガーディアンの対応

【ケース1】休職に関する規定を置きましょう。

休職を繰り返すうつ病の社員を辞めさせたい。
そのような場合、休職に関する規定を置きましょう。

休職制度は、法律上の規定は特になく、使用者が任意に設ける制度です。法律上決められた制度でないにも関わらず休職制度を設ける企業にとってのメリットは何か、ということになりますが、労働者が私傷病により労務の提供ができなくなり、辞めさせるべきか否か判断に迷うような場面で、ただそのまま解雇したのでは解雇権濫用法理から疑問視されかねないような場合でも、休職制度を使うことで、休職期間が満了しても労務がなお提供できない場合に解雇にするのであれば、その相当性判断に有利に働く、というメリットがあります。
また、休職満了時の取り扱いについても、何ら定めないままだと、当該労働者を退職させるためには合意退職とするか解雇するか、何かしらの手段を採らざるをえません。

そこで、休職期間が満了してもなお復職できる状況にない場合には当然退職とする旨の規定を置いておくべきでしょう。この規定があったとしても、解雇のときと同じように慎重に判断することが求められますが、解雇予告手当が不要となる等のメリットがあります。

【ケース2】一度締結した労働契約の労働条件を変更する方法

一度締結した労働契約の労働条件を変更するには、
①労使双方の個別合意による方法、②労働協約の締結による方法、③就業規則の制定・変更による方法、
の3つのいずれかの方法によることが必要です。

もっとも、①労使双方の個別合意による方法だとすると、多数いる労働者全員からそれぞれ個別に合意を得なければならないという点で現実的でありません。②は、労働者全員からではないにしろ、労働組合と使用者との間で合意をして初めて労働条件を変更できるというものです。それに対して、③だと、就業規則を変更することで使用者による一方的な労働条件変更が可能になります。
このように就業規則の変更によって労働条件を変更することは、多数いる労働者の労働条件を公平に統一的に変更できるという意味合いで非常に重要です。

ただ、就業規則で労働条件を変更するとき、一方的な労働条件切下げから労働者を保護しなければならないという観点から、労働条件の不利益変更にあたる場合は、変更に合理性があり、かつ、変更後の就業規則が労働者に周知されていなければなりません(労働契約法10条)。

【ケース2】一度締結した労働契約の労働条件を変更する方法

残業代目当てでダラダラと仕事をする問題社員も、就業規則の規定次第でなくすことができます。

つまり、残業を承認制にしてしまい、その承認を受けていない残業については残業代を支払わないというルールを就業規則に明記します。もちろん、明記したそのルールをきちんと順守しなければなりませんが、残業に承認制を取り入れることで、無益な残業を減らすことができます。

このように、就業規則は、使い方ひとつで紛争を予防することができますし、また起きてしまった紛争を解決する指針としても重要な役割を果たします。

義務があるから設けただけ、それでは宝の持ち腐れになってしまいます。どうせ設けておくなら、あなたの会社にとってベストな就業規則にしておくべきです。
今の就業規則で十分か、一度専門家の目を通じて確認してみてはどうでしょうか?